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STUDIO FNCの仕事の裏側を公開

text by RYUNOSUKE AOTA
photo by RYUNOSUKE AOTA
article up 2018/03/24

テレビの時代は終わりなのか、それとも新時代なのか。

VOL.07「バラエティとは何なのか」

 フジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげでした」が、3月22日(木)の放送をもって最終回となった。約30年間にわたり、フジテレビ木曜21:00の看板を背負い続けた彼らの終焉は、1時間という何も飾らぬ「普通」の終わり方だった。

 という我々、FNC ALL STARSのYoutubeで配信している番組「こんな感じです」は、何を隠そう「とんねるずのみなさんのおかげです」をパロディにした番組タイトルである。そして、今後、現シーズンにもしも終わりが来て、復活するとなったときの番組タイトルはきっと「こんな感じでした」になるのである。とんねるずに影響を受けたZAP・ウッチーの2人は、この最終回に対して本当に寂しい思いでしかなく、唯一、毎週楽しみにしていた番組がなくなってしまった喪失感は計り知れない。

 テレビがバラエティ番組という括りで今放送されているものの中に、本質をもって放送している番組は全くないと思う。どれも、何か視聴者を優先として、SNSなどでの批判を避けるような、なるべく安全運転な方向性での番組作りばかりである。

時にくだらない、時に本気で、そのメリハリがある番組が本当に少なくなった。それは、なんでもかんでも批判ばかりする連中がいて、それを生業に生きてるようなくだらない奴らが増えたことも一因だろう。匿名を利用して、ネット上で、ハリボテのような正義感を振りかざして、この国を語ってるような奴がそういう生きた番組をどんどん潰してきたのも事実だろう。「とんねるずのみなさんのおかげでした」を知ることなく、これから生きて行く新たな世代も残念だし、今まで、とんねるずで育ってこなかった同世代の人間たちも本当に勿体無いと思う。

 ただ、何もかもがそういう人のせいだと決め付けるわけにもいかないとも思う。それは、「時代遅れ」というなんとも厳しい一言で表すことができる。ネットが広がり、テレビ以外のメディアが成長してきて、テレビ全体の視聴率がまず下がってきていること。30%越えなど今の時代からしたら、なんの指標にもならない。そもそも、現代において、生活スタイルが変わり働き方が変わり、時間の使い方が個々に違う時代なのだ。つまり、昔のように「◯曜日の◯時には、テレビの前で待機!」ということは「時代遅れ」のスタイルで「好きな時に好きな部分だけ好きなように掻い摘んで見ることが出来る」が今のメディアの視聴スタイルなのである。すでに「月9」という言葉が古いとも言われるようになったのも、決まった時間の決まった番組を見るというスタイルが今の時代には合わないからだろう。

 新しいスタイルの中で、長く続く番組を作り出すことはもう、難しいのかもしれない。逆に、クールごとにバラエティもドラマのように回数を区切り、新しい番組を提供していくようなスタイルにすれば、ギュッと濃縮された面白みが出るようになるかもしれない。

 時代が変わっても、続いて行くものと去って行くものがあって、きっと、これからもそれは、ずっとずっと繰り返して行くのだろうなと。その度に、「あの頃は良かった」、「寂しいな」、「やめないでくれ!」など数多くの言葉で見送り、きっと少しづつ新しい時代を踏みしめて行くのである。古いものを終わらせて、新しいものをはじめて行く。そうやって変化を加えて行くことで若者の活躍する場を広げて行く。いつまでも上の世代が幅を利かせていては何も変わっていかない。年を取るにつれて少しづつ生きて行くことが窮屈になってくる。でも、まだまだ「若い」やつらには負けてられないとも思う。若者への活躍の場を提供してそこで活躍出来ないなら、もう一度、おじさんたちが取り戻しちゃうからな。

最終回の「情けねぇ」で、放った言葉。

〝バラエティを滅ぼすなよ〟

〝フジテレビをおちょくるなよ〟

この2つの言葉は、きっと、今の「一番偉い人たちへ」と「一番若い人たちへ」放ったメッセージだったように感じる。

テレビというメディアがこれからもどうか良い意味でも悪い意味でも影響を与えてくれるメディアであってほしいと願う。天下一品のパロディコントを世に送り出し最高の笑いをお茶の間に提供し続けてくれたとんねるずの功績はこれから先もきっと誰にも越えられない伝説なのだと思う。

 何はともあれ、一旦お疲れ様でしたであり、枠にとらわれないことをし続けて来た2人に、またいつか、世間をあっと言わせるような行動を起こしてくれることを楽しみにしたい。最高にかっこよく、最高の男たちなのだと。そして、その2人の背中を今までも、これかも、ずっと追い続ける多くの人たちがいることも忘れちゃいけない。

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